「同性婚」めぐる最高裁「大法廷回付」の意味。判決はいつ出るのか、それまでに何ができるか

「結婚の自由をすべての人に」訴訟をめぐる、最高裁「大法廷」回付の意味とは。最高裁判決までのスケジュールや、考えられる判決の「3つのシナリオ」、判決までに一人ひとりに何ができるかについて。
松岡宗嗣 2026.04.03
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婚姻の平等を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟をめぐり、3月25日、最高裁が「大法廷」に回付する決定をしたことが報じられました。

いよいよ最高裁での審理がスタートしたわけですが、そもそも「大法廷回付とは?」「これは良いニュースなの?」という疑問を持つ人もいるのではないかと思います。

通常、最高裁は5人1チームで構成される3つの小法廷で、上がってきた事件を審理しています。しかし、一部の重要な事案については、裁判官15人全員が一堂に会する「大法廷」で判断されます。

特に憲法判断が必要なものや、これまでの判例を変更する可能性がある場合、あるいは社会的に重要な事件などが大法廷に回付されると言われます。

今回の「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、まさに憲法判断が必要であり、かつ社会的にも重要な事件です。だからこそ、最高裁も「裁判官15人全員で判断する必要がある」と考えたと言えるでしょう。

2019年に提訴されたこの訴訟も、いよいよ最後のたたかいです。裁判官全員による審理が始まります。

判決までのスケジュール

今後のスケジュールはどのようになるのでしょうか。

全体的に見ると、最高裁大法廷での審理開始から判決までに、半年程度のものもあれば約1年ほどかかる場合もあるようです。

地裁や高裁では、書面を提出した上で口頭弁論が行われ、判決が下されてきました。通常、最高裁では口頭弁論が行われることはまれで、地裁や高裁での審理をもとに、書面のみで判断されることが多いと言われます。

ただし、憲法判断が必要な場合や重要な事案については、口頭弁論が行われることがあります。そこまでの事件でない場合、むしろ口頭弁論が行われるということは、地裁・高裁での結論が見直される「前触れ」とも言われるようです。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟について、口頭弁論が行われるかどうかは確定していませんが、社会的にも大きな注目を集めている事件であり、おそらく行われるでしょう。いつ実施されるかは定かではありませんが、弁論が行われたあと約1〜3か月程度で判決が下されることが予想されています。

例えば、性同一性障害特例法の生殖不能要件をめぐっては、2022年12月に最高裁が大法廷で判断することを決定し、2023年9月に口頭弁論、そして翌月の10月に違憲判決が下されました。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟についても、もし半年以内に口頭弁論が行われれば、年内に判決が下される可能性が高いでしょうし、口頭弁論の時期がもう少し遅ければ、判決は年明け以降になる可能性もあります。

いずれにしても、2026年度内には判決が下される可能性が高いと言えるでしょう。

最高裁の判決は

最高裁はどのような判決を下すのでしょうか。

2019年の提訴当時、裁判所が違憲判決を出すハードルは非常に高いと言われていました。しかし、札幌・東京・大阪・名古屋・福岡の5つの裁判所で計6件の訴訟が提起され、高裁では6件中5件で明確な違憲判断が示されています。

大法廷回付が報じられた際、ニュースの記事では「判断が割れている」と書かれていましたが、合憲と判断したのは東京高裁の1件のみです。

さらに、この東京高裁判決に対しては、先日、60人もの法学者が抗議声明を出しています。

声明では、特に東京高裁判決が、憲法前文の「われらとわれらの子孫のために(中略)この憲法を確定する」という文言を引用し、婚姻を異性に限定することが合理的だと結論づけている点が問題視されています。

この「中略」とされた部分には、「諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し」という文言が含まれています。

声明では、このような前文の使い方について「恣意的な引用・解釈であり、断じて許容できない」と指摘しています。素人目線から見ても、「憲法前文の一部分に『われらとわれらの子孫のために』とあるから婚姻は異性に限定されるべきだ」という論理はめちゃくちゃだと思います。

「われらとわれらの子孫」に同性カップルは含まれないのか。東京高裁が同性カップルを排除する論理のために「中略」した、諸国民との協和や自由の恵沢、国民主権は、性的マイノリティにとっては必要ないものなのかーーと思わず言いたくなります。

東京高裁判決にはこのほかにもさまざまな問題点があり、以前のニュースレターでも取り上げました。

最高裁は違憲判決を下せるのか

東京高裁判決を除く6件中5件は、現行の婚姻制度が法律上同性カップルを排除していることが憲法違反であると判断しています。

もし6件すべてが違憲だったなら、最高裁としても違憲判断を避けることは難しかったと考えられますが、東京高裁が合憲判断を示したことで、最高裁が合憲の判断を出しやすくなってしまったという声もあります。

主に想定される判決のシナリオは、以下の3パターンです。

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  • 最後の戦い。何ができるか

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